星旦二先生から健康住宅建築の皆さんにメッセージ

私は、「ファース全国大会」に何度か参加させていただきました「東京都立大学」の「星  旦二」です。 
今回この「FAS ニュース」においてコラム連載をさせていただくことになりました。 
私の研究テーマは、健康長寿に関する規定要因を研究し、早世や NNK(ネンネンコロリ)ではなく、PPK(ピンピンコロリ)を実現させる方法です。 
私は要介護状況で長く生きるのではなく、元気で長生きする PPK が望ましいと考えています。  皆さんは健康長寿を規定する最も大切な要因は何だと思いますか。   
WHO は、1986 年にヘルスプロモーションの中で、最も大切な健康規定要因は平和だと述べていました。  
それでは、次に大切なものは何でしょうか。 
実は住宅が平和度合いに次いで大切な規定要因として示されています。 
勿論、様々な関連要因も挙げられますが、健康は医療だけで達成されるわけではないのです。さらに、WHO が示した健康規定要因に私が勝手に「夢」を追加しました。これまで、住宅に係わる具体的な健康維持対策が、公的機関である厚生労働省の健康部門から情報発信されることはありませんでした。 

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実は 2000 年に当時の厚生省から示された健康日本 21 の総論では、WHOの提言が記載されました。私がその原稿の一部を書きましたが、健康日本 21 の各論において健康住宅についての展開は、その後 23 年間何もありませんでした。 
それがなんと、昨年の国会審議の中で小林国会議員の質問に対して、厚生労働省の局長は、現在審議している改訂版健康日本 21 の中で、健康住宅に関する具体策を推進させていくとの答弁をしていました。実は、小林議員が用いた質問の素案は私が下書きしたものです。 
今後、我が国でも健康住宅はさらに具体的に展開する可能性は極めて高いことが考えられます。今後このコラムでは、健康住宅に関する様々な科学的エビデンスを中心に情報を提供していきたいと思います。 
どうぞよろしくお願い申し上げます。 
著:東京都立大学名誉教授  星  旦二