医学博士が推奨する健康住宅③

前回の健康住宅は、ハード面から暖かく、家族が成長するなどソフト面からのお話しをしました。住まいと住む方が、家族、とりわけ子供たちの心の成長につながっていくのだと思います。


特に、おいしい食卓を囲み、会話が弾む家族、そして子供や孫の成長を見守っている親や祖父母をイメージするとわかりやすいでしょう。


騒音がなく、光の調整ができ、深い睡眠が確保できる寝室にも配慮できている住宅は、健康維持にとってとても大切なことです。


このようにソフト部分である、住まい方で家族が成長する、つまり子どもたちが夢を持って前向きに生きることが大切です。


食卓を囲み、深く眠れる、そして家族の誰しもが前向きに生きて、病気になりにくく、豊かに生きることを可能にしている住宅こそが、健康住宅の本質的な目標として掲げたいと思います。


特に、将来のある子供たちが前向きに夢をもって生きるために最も重要な要素は何でしょうか。
その要素としては、家族が子供たちを全面的に信頼し、同時に全面的にサポートが出来る家族の存在が最も大きいと考えています。


特に、関係者の全面的な「手当て」が最も重要ではないかと思います。

家族以外でも、友人や知人などを含めた「てあて」が大切なのです。家族と共に、関係者の支援の基に、つらい体験や困ったことの共有と対処方法についての会話が出来、適切な対処行動へと連動させていくことが大切です。


つらい体験を持っている人には、「辛いんだね」とか「支援します」の同調、協働してくれる仲間の存在はとても大きいものです。
また、成長できる関係性が、家族だけではなく、お施主様を中心とした仲間が増えることで、信頼資本はどんどんと高まっていくでしょう。


遺伝子は、制御できませんが、生後の家族や仲間からの支援で人が成長出来ることを模伝子(ミーム)と呼ばれています。


家族のミーム、仲間のミームそして地域や国のミームがあるのだと思います。


世界的に見れば、最も幸福度が低い日本は、国のミームとしては、大きな課題があります。このシリーズでは、住宅のハード面と共に特にソフト面から見た健康面での機能や役割そして関連性について皆様と情報を共有して行きます。


著:東京都立大学名誉教授 星 旦二