医学博士が推奨する健康住宅②

第 1 話は、WHO が示したヘルスプロモーション憲章の中で、健康規定要因として平和と共に住宅が入っていたことをお話ししました。ところで、健康を支える健康住宅について皆さんは、どのように定義されますか。


北海道の住宅は、断熱性と気密性に優れた状宅です。

このように断熱機能が優れている暖かい住宅では、循環器疾患が少ないことが明確になっています。

脳卒中とは、脳出血、脳梗塞、脳塞栓を言いますが、最も多いのは、東北地方です。最も寒いはずの北海道は、最も少ないことをご覧ください。

暖かい住宅を創り続けた北海道の皆様に敬意です。


家全体が暖かいことで、お風呂場やトイレも寒くないことで、ヒートショックによる心臓病を中心とした循環器疾患が少ないということも挙げられます。

また、結露が少なくカビ・ダニがいないことで、特に子供のアレルギーが少ないということにも連動します。

更には、暖かい家で血圧を安定化させ、深く眠れる住宅は、健康住宅のひとつの要素ではないかと言えます。


また、健康住宅の定義として、気密性や断熱性はハード面としてとても大切ですが、同時にその効果としてのソフト面、特に人が成長できる住宅、子どもらが豊かに育つ住宅、これらこそが最も大切な要因だと考えています。

このように健康住宅を見る視点としては、ハード面と共にソフト面からの機能を重視したいものです。

よく使われている「すまいと住まい方」という視点がとても大切になります。

特に、おいしい食事を囲み、会話が弾む家族、そして子供や孫の成長を見守っている親や祖父母をイメージするとわかりやすいでしょう。

騒音がなく、光の調整ができ、深い睡眠が確保できる寝室にも配慮できている住宅は、健康維持にとってとても大切なことです。

よって、ソフト部分である、住まい方によって家族が成長する

つまり子どもたちが夢を持って前向きに生きれるよう、食卓を囲み深く眠れる、そして家族の誰しもが前向きに生きて病気になりにくく、豊かに生きることを可能にしている住宅こそが、健康住宅の本質的な目標として掲げたいと思います。

ところで、特に、将来のある子供たちが前向きに夢をもって生きるために最も重要な要素は何でしょうか。

その要素としては、家族が子供たちを全面的に信頼し、同時に全面的にサポートが出来る家族の存在が最も大きいと考えています。特に、関係者の全面的な手当てが最も重要ではないかと考えています。
家族以外でも、友人や知人などを含めた「てあて」が最も大切だと思います。

家族と共に、関係者の支援の基に、つらい体験や困ったことの共有と対処方法についての会話ができ、適切な対処行動へと連動させていくことがとても大切だと思っています。


このように、このシリーズでは、住宅のハード面と共に特にソフト面から見た健康面での機能や役割そして関連性について皆様と情報を共有していきたいと考えています。

著:東京都立大学名誉教授 星 旦二